神戸市東灘区御影中町1丁目8-3

Tel. 078-851-1857

スタッフ募集

飛沫感染とマスクの重要性を事例や論文から学ぶ

  1. ホーム
  2. 新型コロナウイルス感染に関する重要なお知らせ
  3. 飛沫感染とマスクの重要性を事例や論文から学ぶ

飛沫感染とマスクの重要性を
事例や論文から学ぶ

第2波以降の国内における様々な事例

2020年7月初旬に神戸市内の飲食店で会食していたグループ5名中3名が新型コロナウイルスに感染し、同じ時間に同じ飲食店を利用していた別のグループ内からも感染者が発生した事例報告。

飲食店での会食において、自分が参加しているグループ内での感染のみならず、別のグループからの感染に対しても注意を要する重要な事例と考えます。

2020年9月25日にプロ野球在阪球団の会食によるクラスターが発生しました。シルバーウイーク初日の9月19日に名古屋市内で会食を開催。

  • (グループ1) 選手やチームスタッフの計8名で飲食店を貸し切りにして会食
  • (グループ2) 選手4名で飲食店の個室を利用して会食

(グループ1)8名中5名、(グループ2)4名中2名 計7名が新型コロナウイルスに感染していたことが判明。
さらに9月29~30日には新たに“会食に参加していない”チームスタッフ2名の感染が報告されました。10月9日に球団社長が管理責任を負い、辞任発表する事態に発展しました。なお、会食に参加したメンバーは会食当日全員が感染の兆候(発熱や呼吸器症状)はなかったようです。

⇒毎日のように接している同僚の中にも無症状で感染している方が存在している可能性が示唆されました。貸し切りや個室を利用することによって周りの目を気にしなくて済むようになり、大声を出したりはしゃいだりする要素が生まれ、感染予防に対する意識が逆に薄れてしまいます。同居している家族が飲食店の個室で食事をするのは、自宅で食事することと比べて感染リスクはあまり高まらないでしょう(店員さんから感染すること以外感染リスクはほぼ同じ)。しかし、いくら仲の良い知人でも毎日接している同僚でも同居している家族とは違って他人です。グループ内で感染が発生した場合、誰が感染していたのか?などの疑念が生まれ、それを機に気まずくなることがあるかもしれません。

なお、いずれの事例においても個人や特定の団体を非難するものではなく、新型コロナウイルス感染は誰にでも感染しうる感染症であり、教訓になる事例として提示させて頂きました。

海外における様々な報告

米疾病対策センター(CDC)は新型コロナウイルスの感染者と非感染者の行動に関する調査を実施しました(対象は米国内11州で2020年7月1日~29日に新型コロナが疑われる症状を訴えて検査を受けた人のうち陽性だった154名と陰性だった160名。症状が出る直前2週間前の行動を調査。なお、感染者の70.6%、非感染者の74.2%は、この期間中「常にマスクを着用していた」と回答)。感染者は非感染者と比べ、症状が出る前にレストランなどを訪れた割合がはるかに高いことが分かりました(レストランを訪れた人は非感染者が27.7%に対して感染者は40.9%、バーや喫茶店に行った人は非感染者が5.0%に対して感染者は8.5%でした)。それに対して、「買い物」「屋内での集会」「スポーツジム」「教会」などの項目では、ほとんど差がありませんでした。CDCは「飲食時などマスク着用や社会的距離の確保が難しい場での感染リスクを下げる方策を考える必要がある」と指摘しています。

2020年10月2日にアメリカのトランプ大統領が新型コロナイウイルスに感染。同時にホワイトハウスでクラスターが発生(WHOがクラスター相当と発表)しました。ホワイトハウスの職員・議員・記者などを含めて少なくとも30名以上の感染が確認されました。トランプ大統領は数か月にわたり新型コロナウイルスの深刻さを軽視し、マスクの着用を拒否し、全米中に新型コロナウイルスが広がる中、大規模な選挙集会を開催し、側近の方々や集会参加者の大多数がマスクを着用していなかったという報道がありました。

⇒いずれの報告もマスクを外した場面で(マスクを外した者同士が至近距離での食事や会話などを行う)、感染リスクがかなり高まることを裏付けたエピソードです。

「飛沫」の飛ぶ距離の目安(マスクを着用しないとき)

 会話:1メートル、:3メートル、くしゃみ:5メートル

マスクにまつわる様々な海外からの論文

「咳で発生する飛沫の量と会話で発生する飛沫量は大きく変わらない」という研究(Journal of Aerosol Science: Volume 40, Issue 2, February 2009, Pages 122-133)があり、これらのことから無症状の感染者から会話のみでウイルスが伝播する可能性が示唆されます。
一方で、医療従事者のみならず患者さまのマスク着用を義務化したら医療従事者の新型コロナウイルス感染率が低下したという研究「病院内でのマスク着用による新型コロナウイルス感染予防効果」(JAMA. 2020 Jul 14; e2012897)や美容院で新型コロナウイルスに感染した美容師2人に15分以上濃厚接触した139人の客が誰も新型コロナウイルスに感染しなかったという研究「美容師2人が新型コロナウイルスに感染していてもマスク着用によって客は誰も感染しなかった」(MMWR Morb Mortal Wkly Rep . 2020 Jul 17;69(28):930-932)

マスクの感染予防効果は絶大と言えます。特に感染拡大している地域において、外出時に(周囲に人が居ない道路などの環境を除いて)マスクを外すという行為は相当な覚悟がいるということです。極端に言うと「自宅を出て自宅に帰ってくるまでマスクを外さなければ、かなりの確率で感染を防ぐことができる」はずです。もちろん、マスクだけでは全ての感染リスクを回避させるのは不可能なので、3密(密集・密接・密閉)を避けて(室内では十分な換気を必ず行う)など他の対策と併用することが重要です。
コロナ禍の日常生活において、感染リスクをゼロにすることはほぼ不可能ですが、ゼロに近づけることが重要です。

2020年10月23日

ページの先頭に戻る