気管支喘息- なかじま内科(呼吸器内科・アレルギー科・循環器内科)

阪神御影駅北出口より徒歩2分

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電話078-851-1857

気管支喘息

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気管支喘息(ぜんそく)

気管支喘息(ぜんそく)は、空気が通る気道のアレルギーが元になって起こります。アレルギーが関与する呼吸器疾患の中で最も多くの患者さまが悩んでおられる病気ではないでしょうか。

「気管支喘息」で悩んでおられる方はもちろんのことですが、日常生活の中で①「呼吸が苦しい」と感じる、②「息切れ」がする、③息を吐くときに胸やのどが「ぜいぜい」や「ひゅーひゅー」鳴る、④夜間から朝方にかけて「咳」が出るなどの症状を認める方は、「気管支喘息」が疑われます。

院長は、呼吸器・アレルギー専門医です。また、当院では「喘息予防・管理ガイドライン(監修:日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部)」に基づいた診断・治療を行っております。

気管支喘息とは

「気管支喘息」は、気道の炎症によって気道が狭くなる病気です。「気管支喘息」は、①個体因子(遺伝子素因、アレルギー素因など)と②発現因子(アレルゲン(ハウスダスト・ダニ・カビ・花粉・ペットなど)、大気汚染、タバコ、食品、薬物など)とが複雑に絡み合って病態を形成します。そして、それらの原因によって「気管支喘息」の気道は気道の粘膜に炎症が起きていて、さらに増悪因子(アレルゲンの曝露、ウイルス感染、タバコなど)によって気道が狭くなって息苦しくなったりします。

「気管支喘息」の原因は、①気道の炎症と②気道狭窄であり、症状のないときでも慢性的に続いています。

【気道炎症】
気道に傷害が起こり、気道内に分泌物が増え、気道粘膜がむくみます。
【気道狭窄】
気管支周囲の平滑筋が収縮することにより起こります。

慢性的な気道炎症は、気道粘膜のむくみが続くことによって気道の壁が厚くなり、気道の内腔が狭くなり、発作がない時でも常に「息切れ」を自覚する状態をもたらします。また、そのような状態ではちょっとした刺激でもすぐに気道収縮が起こり、すぐに喘息発作をおこしてしまうといった悪循環になります。

気道の断面の比較

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気管支喘息の予防

生活習慣の見直しをしましょう

「気管支喘息」の予防は、発現因子や増悪因子(アレルゲン(アレルゲン(ハウスダスト・ダニ・カビ・花粉・ペットなど、タバコ、ウイルス感染など)の曝露からの回避が重要です。

病因アレルゲンの発現は、血液検査(RAST,MAST)や皮膚テストなどで可能です。

気管支喘息の予防

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気管支喘息の薬物治療

「気管支喘息」は慢性気道炎症の病気ですので、基本的には抗炎症作用をもつ「吸入ステロイド薬」を使用します。また気道狭窄に対しては、気管支を拡張させる作用をもつ「気管支拡張薬」を使用します。さらに抗炎症作用と気管支拡張作用をもつ「ロイコトルエン受容体拮抗薬」を使用します。

これらの「抗喘息薬」は長期管理薬(長期管理のために継続的に使用する薬剤)と発作治療薬(喘息発作治療のために短期的に使用する薬剤)の2種類に大別されます。

【長期管理薬】
  1. 吸入ステロイド薬(ICS)

  2. 気管支拡張薬(長時間作用性β2刺激薬(LABA)、テオフィリン徐放製剤)

  3. 吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬(ICS/LABA)
    ※ICS/LABAの中には発作時にも使用できる吸入薬があります。

  4. ロイコトルエン受容体拮抗薬
     モンテルカストナトリウム、プランルカスト水和物
  5. テオフィリン徐放製剤
  6. 長時間作用性抗コリン薬(LAMA)

  7. 抗IgE抗体(※重症喘息の方のみに使用します。)
  8. ロイコトルエン受容体拮抗薬以外の抗アレルギー薬
【発作治療薬】
  1. 短時間作用性β2刺激薬

  2. 経口・注射ステロイド薬
  3. テオフィリン薬

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気管支喘息の治療効果判定

「気管支喘息」は慢性的に気道炎症がおこる慢性疾患ですが、糖尿病や高血圧などと違い、自覚症状(息切れ、呼吸困難、胸が「ぜいぜい」や「ひゅーひゅー」鳴るなど)が前面に現れる病気です。そのため、治療にて自覚症状が少し良くなると治ってしまったと勘違いし、自分の判断で治療を中断してしまう方もおられますが、治療を中断すると再発することが頻繁に認められます。たとえ自覚症状がなくても継続して治療する必要があります。そして継続治療中に医師の判断で治療の強化、軽減を行います。もちろんコントロールが非常に良好な方は治療の中止を行う場合もあります。それには現状把握が必要となります。

呼気NO濃度測定検査

治療効果判定のために呼吸機能検査(肺機能検査)呼気NO濃度測定検査を治療前後に実施するなど客観的指標が必要です。

ピークフロー検査

その他、患者さんが毎日自宅で喘息の状態を把握できる検査としてピークフローメーターによるチェックがあります。糖尿病の患者さんが血糖測定器で血糖を測定し、また高血圧の患者さんが血圧計で血圧を測定するように、「気管支喘息」の患者さんはピークフローメーターによる客観的指標で気管支の現状を評価する必要があるのです。

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アレルギー性鼻炎:気管支喘息の合併症

「アレルギー性鼻炎」が「気管支喘息」に合併している場合、「アレルギー性鼻炎」を同時に治療することにより「気管支喘息」の状態もより良くすることができます。

「気管支喘息」患者さんに「アレルギー性鼻炎」の合併が多いことはよく知られていますが、合併率が高いだけではなく、喘息の病状や、喘息の発症に影響するなど関連は非常に深いことから、最近では「One airway, one disease」という概念が提唱され、注目されています。
合併率については、診断法・対象患者構成・地域などにより異なりますが、「気管支喘息」患者さんでの「アレルギー性鼻炎」の合併は80%前後に、「アレルギー性鼻炎」患者さんの10~20%に「気管支喘息」の合併が認められます。(小児では成人より高いといった報告が多いです。)

「気管支喘息」患者さんで「アレルギー性鼻炎」を伴う場合には、鼻噴霧ステロイド薬などによる「アレルギー性鼻炎」の治療が喘息症状の改善につながるとの多くの報告があります。また、吸入ステロイド薬の治療によっても症状コントロール不良のうち、「アレルギー性鼻炎」合併例には吸入ステロイド薬を増量するよりもロイコトルエン受容体拮抗薬の内服を併用する方が、効果が高いといった報告もあります。

「アレルギー性鼻炎」について >>

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COPD:気管支喘息の合併症

ACOS(Asthma-COPD Overlap Syndrome):COPDとの合併


2014年5月 GINAとGOLDが共同でACOSのチャプターを新設

COPDは、高齢者においては最も鑑別に注意を要する疾患であるとともに、合併症としても重要な疾患です。
従来から、喘息とCOPDが合併していると見なされる患者さんの存在は知られていましたが、近年に至り喘息とCOPDの合併病態が再び注目されています。

65歳以上の高齢者における実際の両疾患の合併が、24.7%に上る報告や、喘息とCOPD合併の合併例(オーバーラップ症候群)とした疫学調査では、高齢者閉塞性肺疾患では約半数以上はオーバーラップ症候群に相当するとの調査結果もあります。これらの患者さんでは増悪の頻度が高く、QOLも低く、呼吸機能の急速な低下を示し、予後が悪いことが推定されています。

このような状況を踏まえて、 2014年5月に海外の喘息最大の団体( GINA(Global Initiative for Asthma) )とCOPD最大の団体(GOLD(Global Initiative for Obstructive Lung Disease))が共同で、慢性の気流制限を示す疾患カテゴリーとして喘息、COPDに加えて、両病態を併せ持つ患者群に対して「喘息COPDオーバーラップ症候群(Asthma-COPD Overlap Syndrome :ACOS)」を新たな疾患として呼称し、喘息、COPDとACOSについて提唱しました。

前述のGINAとGOLDの合同会議ではACOSの初回治療として、喘息の特徴を優位に示す患者さんには長時間作用性気管支拡張薬を単独で使用すべきではなく、吸入ステロイド薬による管理療法が基本としています。

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運動誘発喘息

1.概念

喘息患者さんの多くは、運動終了の数分後から一過性の気管支収縮を来し、60分間以内に自然回復します。ほとんどの小児喘息患者さんと半数以上の成人喘息患者さんが、運動時の悪化を自覚しています。実際の運動では水泳で起き難く、ランニング、特に短距離走の繰り返しや中距離走で起きやすいとされています。一般的には小児に多い病態と考えられていますが小児での運動の機会の多さを反映しているためで、実際のところ成人と小児は同程度と考えられています。

このように運動の数分後に喘息発作や気管支収縮が生じることを、運動誘発喘息(exercise-induced asthma:EIA)、もしくは運動誘発気管支収縮(exercise-induced bronchospasm、exercise-induced bronchoconstriction:EIB)と呼びます。しかし、喘息を有さない健常者でもEIBが起こり、その頻度は約20%と報告されており、学術的にはEIAの代わりにEIBを用いることが多いです。なぜなら、患者さんは必ずしも喘息の病態下にあるわけではなく、また運動が必ずしも喘息を生じるわけではないことに基づいています。EIBはあらゆるレベルのアスリートに起こります。オリンピック選手に代表されるエリート(トップ)アスリートでは30~70%に認められます。

2.予防

EIB予防に有用な薬物として、吸入β2刺激薬、ロイコトルエン受容体拮抗薬などが用いられます。2013年のATS(米国呼吸器学会)の治療指針では、運動の15分前の短時間作用性β2刺激薬(SABA)の頓用使用は有効性が高いために第一選択として挙げられています。SABAの使用頻度が連日に及ぶようになるか、予防効果が乏しい場合には長期管理薬の追加が必要となります。吸入ステロイド薬の連日投与は効果的で推奨されてますが、運動直前のみの頓用使用は推奨されていません。ロイコトルエン受容体拮抗薬の連日の内服は効果的で推奨されています。

EIBでは、喘息の病態を有する場合があり、予防には喘息の長期管理に準じて薬物を投与することが必要となります。運動直前のSABAの単回投与と、長期管理薬による喘息のコントロールがEIB管理、予防の両輪となります。

「喘息・予防管理ガイドライン2015」より

【高校生が運動部に入部し、直後にEIBを発症】

高校入学後、運動部に入部。その直後から喘息を発症。当院に来院し、臨床的にEIBと診断。その後、当院にて定期通院加療することで喘息症状が改善する高校生患者さんがしばしばおられます。高校に入って部活動の運動量が中学時代のそれと比較して、圧倒的に多くなることで、気道に過剰な負荷がかかり、EIBを発症します。中学生まで症状がなくても、高校生になって運動部入部後に喘息症状(呼吸困難・喘鳴・咳)を発症した場合はご注意ください

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アスリート喘息

1.概念

国際的な運動競技選手(アスリート)では、前述のようにEIBが起こる場合があります。そしてその中に喘息の病態を有する症例があります。アスリートには非競技者に比べて高い有病率で喘息が生じることが報告され、注目されています。

アスリート喘息には、一般的にはアスリートに見られるEIBのことを示しています。アスリートになる前から喘息に罹患している症例とアスリートになってからEBIが発症し、喘息の病態が併発する症例と併発しない症例があるが、それらの違いについてはまだ明らかにされていません。しかし、アスリートが競技の為の高度のトレーニングを中断すると、気道過敏性の亢進が軽減、あるいは消失する可能性が報告されています。きわめて過度の運動により生じた特有の病態であり、非競技者に見られる一般的な喘息とは異なる病態の可能性が疑われます。

2.病因・病態

発送機序は基本的にはEIBと同様ですが、EIBの一般的な機序(気道の冷却、気道上皮細胞の脱水)だけでなく、アスリート喘息には特有の病態が提唱されています。非常に激しい運動時には200L/分までの過剰な換気量になります。このような状態では非競技者の運動時には見られないような変化、すなわち、細胞の極度の進展、収縮が気道上皮に反復して起こり、細胞が傷害されます。この上皮傷害はすぐに修復されますが、この現象が繰り返されることが病態の根幹になり、喘息を発症します。

3.疫学

ほとんどの競技種目のアスリートに発症する可能性がありますが、耐久スポーツ、そして夏季よりも冬季スポーツに頻度が高い傾向があります。オリンピック競技種目の中では、クロスカントリースキー、アイススケート、自転車競技、水泳などに多いです。発症には過大な運動量による換気量の著明な増大の他に、競技、トレーニングの環境(冷たく乾燥した空気、微細粒子、オゾン、窒素化物、など)が影響しているとされています。

4.診断

国際・国内の主要な競技会に出場するアスリートには十分に客観的な診断をする必要があります。この疾患の治療薬にはドーピング禁止薬物が含まれます。そして、治療目的で使用するために除外措置(TUE:Therapeutic Use Exemptions)申請をする場合は、診断根拠を客観的に証明する書類を提出しなければなりません。臨床症状に基づく診断は当然不可です。

【アスリート喘息の確定診断には】

アスリート喘息の最終診断には、気道過敏性試験や運動誘発試験が必要となります。このような特殊な検査は大病院(神戸市内なら神戸大学医学部附属病院、神戸市立医療センター中央市民病院など)でのみ実施しております。

院長は所属医局が神戸大学医学部 呼吸器内科学講座(正式名称:神戸大学大学院医学研究科 内科学講座・呼吸器内科学分野)であり(同講座の同門会幹事をしており)、「アスリート喘息」の確定診断が必要な患者さまには、神戸大学医学部附属病院 呼吸器内科へスムーズにご紹介いたしますので、ご安心して当院を受診・ご相談ください。

5.治療

EIBの予防には前述のように喘息の長期管理薬に準じて薬物を投与することが必要となります。運動直前のSABA単回投与と、長期管理薬による喘息コントロールがEIB管理、予防の両輪となります。薬物の使用には、TUE申請の必要がなくても使用できるもの、TUE申請の必要なもの、TUE申請が認められないので全く使用できないものに分類されるので注意が必要です。

吸入ステロイド薬の定期投与を中心とした長期管理で気道炎症を安定化させてEIBが起こり難くすることが基本となります。薬剤は、吸入ステロイド薬、ロイコトルエン受容体拮抗薬、テオフィリン薬の使用は認められています。吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)は、サルメテロール、ホルモテロールともに使用が認められています。しかし、ツロブテロール貼付薬、すべての経口β2刺激薬は使用禁止薬であり、TUE申請も認められていません。 

6.管理

運動前にSABAの投与を中心とした薬物療法、そしてウォーミングアップを適切に取り入れてEIBを予防します。そして、症状が強い場合は、吸入ステロイド薬だけでなく吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA) 、ロイコトルエン受容体拮抗薬の連日投与を追加して喘息の長期管理を行い、状態を安定化させてEIBの予防を強化します。

その他には、EIBを予防できる環境を整備し、気温や湿度の極端に低いところでのトレーニングは避けます。さらに、プールの塩素、アイスアリーナの超微細粒子を避けるような対応が必要です。

「喘息・予防管理ガイドライン2015」より

【一般競技者におけるアスリート喘息について】

近年の健康志向ブームによって、マラソンの市民ランナーやトライアスロン競技者が徐々に増加しています。
当院でも趣味によるマラソンやトライアスロンの競技者の喘息が増加してきております。喘息症状が悪化している際にはいったん競技(練習も含めて)を中断していただきますが、適切な管理・予防を実施することで病状が安定し、大多数の方が競技に復帰することが可能です。また、喘息診断・治療前に比べて競技の成績が向上したことで、非常に喜んでおられるケースもあります。

健康志向により、さまざまなスポーツを始められることは大いに結構なことですが、マラソンやトライアスロンのような激しい競技を開始した後から、喘息症状(呼吸困難・喘鳴・咳)を自覚している方は、当院のような呼吸器・アレルギー専門医療機関を受診してください。

趣味で競技に参加しており、国内外の国際レベルの主要な競技会に出場してタイムを競うようなアスリートでなければ、 TUE申請は不要です。喘息の長期管理をしっかり行って、趣味を満喫するようにしましょう!

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