
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

「睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)」は、夜間睡眠中に起こる無呼吸または低呼吸発作が頻回に生じることで周期的な酸素不足を繰り返し、日中傾眠(昼間の眠気)や起床時の頭痛などの症状を発症するだけでなく、心血管系疾患(高血圧、心筋梗塞、不整脈、脳梗塞など)を高率に合併する病気です。
「睡眠時無呼吸症候群」では動脈硬化の促進を通し、生命予後の悪化につながることがすでに明らかにされています。また、質・量ともに十分な睡眠が得られず、不眠やEDSを生じる一方、注意・認知・記憶などが障害されて作業能率を低下させるばかりか、居眠り運転による交通事故や労働災害などを来す原因にもなるため、社会的に大きな問題となっています。
自分自身または配偶者がひょっとしたら「睡眠時無呼吸症候群」かも?と思っているものの、仕事が忙しくて病院などの専門医療施設になかなか受診できないような方は、気軽に当院を受診してください。適切に診断・治療を致します。
当院では「成人の睡眠時無呼吸症候群診断と治療のためのガイドライン」に基づいて診断・治療を行っております。
院長は呼吸器専門医であり、「睡眠時無呼吸症候群」の診療経験が豊富です。もし当院にて対応できない場合には、適切な専門病院をご紹介しますので安心して受診してください。
睡眠時無呼吸症候群の症状

覚醒時の症状
- 日中傾眠、記憶力・集中力低下
- 起床時の頭痛・頭重感
- 性欲低下・インポテンツ・erectile dysfunction (ED)
- 性格変化・抑うつ状態
睡眠時の症状
- いびきと呼吸停止
- 異常体動
- 不眠・中途覚醒
- 夜間頻尿
睡眠時無呼吸症候群と咳嗽の関係
- 慢性咳嗽患者の約40~80%がOSA(obstructive sleep apnea:閉塞性睡眠時無呼吸)を有するとの報告があります。
- 海外の報告では、OSA関連の咳を呈する患者さんの特徴として、いびき・夜間の胸やけ・咳・鼻炎症状、高BMI、女性、日中の眠気が乏しいなどが挙げられています。
- OSA患者における慢性咳嗽には肥満、GER(胃内容物が食道に逆流すること)、上・下気道炎症、咳感受性亢進など種々の病態が関与するとされています。
睡眠時無呼吸症候群の原因・悪化要因
「睡眠時無呼吸症候群」の無呼吸を来す原因として、寝ている間に喉の筋肉などが緩み、上気道が塞がれてしまい、そのために呼吸が一時的に止まります。これを寝ている間に繰り返します。

睡眠時無呼吸症候群を来す要因
- 肥満の人(特にBMI≧25、内臓肥満タイプ)
- 口呼吸をしている人
アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、副鼻腔炎などにより鼻がつまっている状態だと、口を開ける以外呼吸ができないため、無呼吸が悪化します。耳鼻科的治療が必要です。 - 下顎(下あご)の小さい人、下顎(下あご)が引っ込んでいる人
- 舌が大きい人、扁桃腺が大きい
- 加齢(男性では40~50歳代、女性では閉経後に頻度が高い)
- 睡眠薬の使用、喫煙など
睡眠時無呼吸症候群と合併症

「睡眠時無呼吸症候群」は、夜間睡眠中の上気道の閉塞が原因で低酸素状態が繰り返され、下記のような循環器疾患などの生活習慣病が高率で合併します。
睡眠時無呼吸症候群に合併する疾患


- 高血圧特に、早朝高血圧や夜間高血圧が問題となっています。
- 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)重症の睡眠時無呼吸症候群では、致死的心血管イベント発生率が2~3倍になるという報告があり、睡眠時無呼吸症候群が虚血性心疾患発生を促進させることが明らかになっています。
- 脳血管障害睡眠時無呼吸症候群と関連する習慣性いびき症では、脳血管障害発生率が1.5~2倍になるという報告があり、睡眠時無呼吸症候群が脳血管障害発生を促進させることが明らかになっています。
- 糖尿病睡眠時無呼吸症候群と関連する習慣性いびき症では、糖尿病発生率が1.7~2.4倍になるという報告があり、睡眠時無呼吸症候群が糖尿病発生を促進させることが明らかになっています。
- 不整脈
- 突然死
睡眠時無呼吸症候群の検査
1)簡易型診断装置による検査

鼻の気流センサーによる呼吸状態、低酸素状態などから無呼吸の状況を確認します。
入院不要で、自宅で検査できます。
2)終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査

脳波、睡眠状態、低酸素状態、呼吸状態、下肢筋電図などから無呼吸や睡眠障害の状況を確認します。
睡眠時無呼吸症候群の治療
1)生活習慣の改善

- ダイエット(食事・運動療法)
- アルコールの制限
- 禁煙
2)睡眠習慣の改善
側臥位での就寝(抱き枕がお勧めです)、睡眠薬の制限
3)CPAP療法(鼻マスク式持続陽圧呼吸治療)
マスクを介し気道内に圧をかけ、気道の閉塞を取りのぞく療法です。安全性や合併症改善予防効果も立証されており、「睡眠時無呼吸症候群」治療の第一選択として中等~重症の「睡眠時無呼吸症候群」の治療として用いられています。
当院にてCPAP療法の導入が可能です。
- <CPAPレンタル費用(毎月必要です)>
- 健康保険の適応あり。1ヶ月:約5,000円程度(3割負担の場合)


4)外科的治療(耳鼻咽喉科領域)
「睡眠時無呼吸症候群」の原因となっている構造的な問題点を手術にて解決します。(咽頭や口蓋垂の形成を行い、空気の通り道を拡張する方法です)
5)歯科的治療(歯科領域)
マウスピースを作製し、咽頭部分を拡張します。
CPAP療法の効果・メリット
1)無呼吸・低呼吸・いびきの消失
CPAP療法により、いびきがなくなり、いびき騒音による家族の睡眠障害が解消されます。
2)睡眠の質の向上、日中傾眠の解消
CPAP療法により、睡眠が深くなり、快適な睡眠が得られます。日中の眠気が改善し、お仕事の作業能率があがり、居眠り運転による交通事故の発生率も下がります。
3)低酸素状態の改善
CPAP療法により、低酸素状態によって起こる覚醒時の日中傾眠以外の症状(早朝の頭痛など)も改善します。
4)合併症の予防・改善、予後の改善
CPAP療法により、生活習慣病(高血圧、糖尿病など)の予防または改善により、死亡率の低下が望めます。
「睡眠時無呼吸症候群」に罹患している方は、心筋梗塞や脳卒中などの致命的な心血管イベントが健康な人の約3倍になりますが、CPAP療法を実施すると、健康な人と変わらないほど低下します。
