
睡眠時無呼吸症候群に関する質問・疑問
(Q&A)
30歳代男性。最近、日中の眠気が強くて困っています。また以前より家族から睡眠中に大きないびきをかいたり、20~30秒間程度息が止まっていると言われています。他に職場の健診で2年前から高血圧を指摘されています。医療機関を受診しようと考えていますが、何科を受診したらいいでしょうか?
睡眠時無呼吸症候群が疑われます。鼻やのどの症状が強い場合は耳鼻咽喉科でも構いませんが、生活習慣病(高血圧)をお持ちですので、基本的には内科(特に呼吸器内科/循環器内科)を受診することをお勧めします
今後の死に直結するような重篤な疾患(脳血管障害(脳梗塞など)や虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症))の合併予防と合わせて考え、早めの受診をお勧めします。
40歳代男性、高血圧と糖尿病を治療中です。睡眠時間が短いせいか、日中の眠気が少しありますが、気になりません。しかし、家族から睡眠中に大きないびきをかいたり、30秒間程度息が止まっていることを指摘され、医療機関で検査するよう言われていますが、仕事が多忙であまり気が進まず、入院検査も難しいです。何か良い方法はあるでしょうか?
睡眠時無呼吸症候群が疑われます。とくに生活習慣病(高血圧と糖尿病)をお持ちですので、もし睡眠時無呼吸症候群を合併していると、今後生命に直結するような脳血管障害(脳梗塞など)や虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)の発生確率が上がります。
まずは検査を受けることをお勧めします。
当院では便利で安心な「簡易検査装置自宅配送サービス」により自宅で検査が受けられます。
60歳代女性。今まで病気とはほとんど無縁ですが、軽い鼻炎があります。日中の眠気は少しありますが、気になりません。以前より家族や友人から睡眠中に大きないびきをかいたり、20秒間程度息が止まっていると指摘されています。自分ではあまり困っていませんが、家族や友人に迷惑をかけているようで、気になっています。どのように考えればいいでしょうか?
睡眠時無呼吸症候群が疑われます。一般的に睡眠時無呼吸症候群は「肥満の男性」に多いイメージがあるかもしれませんが、発症の要因として、加齢(女性では閉経後に頻度が高い)やアレルギー性鼻炎などによる口呼吸などがあります。
まずは検査を受けることをお勧めします。
60歳代男性、職場健診で10年前から高血圧を指摘されていましたが、自覚症状がないため放置していました。睡眠中にいびきをかくことはなく、日中の眠気も感じません。
数カ月前から起床時の頭痛、倦怠感、足のむくみがあり、最近では動悸や体を動かした時に息切れも感じます。医療機関を受診しようと考えていますが、何科を受診したらいいでしょうか?
数カ月前から起床時の頭痛、倦怠感、足のむくみがあり、最近では動悸や体を動かした時に息切れも感じます。医療機関を受診しようと考えていますが、何科を受診したらいいでしょうか?
通常、睡眠時無呼吸症候群は気道の閉塞が原因で発生するため、いびきを伴うことが多いです。しかし、まれに脳の呼吸中枢の異常によって無呼吸が発生する、中枢性睡眠時無呼吸症候群が起こることがあります。原因疾患には心不全、不整脈(心房細動)、脳血管障害などがあります。中枢性無呼吸はいびきをかかないため、本人や周囲がなかなか気づけず、治療が遅れてしまうケースが多いです。このケースでは心不全に伴う中枢性睡眠時無呼吸症候群が疑われます。早急に医療機関を受診することをお勧めします。基本的には内科(特に呼吸器内科、または循環器内科)を受診するのが良いでしょう。
40歳代女性。以前から長引く咳(2カ月以上続く咳)の経験が多いです。そのたびに様々な薬剤を処方されますが、咳がすぐに治まることはありません。咳がひどいときは咳による睡眠不足のせいで日中の眠気があります。また以前より家族から時々睡眠中にいびきや10秒間息が止まっていると指摘されています。どうしたらいいでしょうか?
少なくとも睡眠時無呼吸症候群の検査(除外)が必要と考えます。慢性咳嗽患者さんの約40~80%がOSA(obstructive sleep apnea:閉塞性睡眠時無呼吸)を有するとの報告があります。原因として咳喘息など様々なものが考えられますが、睡眠時無呼吸症候群を合併している場合、適切な治療をすることで咳が早期に治まる可能性があります。
まずは(咳が少し落ち着いている時に)医療機関を受診して検査を受けることをお勧めします。
50歳代男性。睡眠時無呼吸症候群に対してCPAP療法中です。CPAP療法を開始して数カ月を経過しましたが、まだ熟眠感がありません。CPAP療法開始前には睡眠薬(睡眠導入剤)を処方されていましたが、以降は中止になっています。睡眠薬の併用はいけないのでしょうか?
睡眠薬はあくまで「不眠症」に対して処方されるもので、睡眠時無呼吸症候群(OSA)自体の治療に対して保険適応はありません。睡眠薬の使用で問題になるのは上気道の筋緊張低下や換気応答低下による呼吸イベントの悪化が考えられます。しかし実際にはCPAP療法中にもかかわらず不眠が認められるケースは多いとされています。CPAP療法の治療効果を減弱させない睡眠薬がありますので、睡眠薬の併用の検討は可能です。主治医と相談してください。
早急に医療機関を受診することをお勧めします。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

「睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)」は、夜間睡眠中に起こる無呼吸または低呼吸発作が頻回に生じることで周期的な酸素不足を繰り返し、日中傾眠(昼間の眠気)や起床時の頭痛などの症状を発症するだけでなく、心血管系疾患(高血圧、心筋梗塞、不整脈、脳梗塞など)を高率に合併する病気です。
SASには閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS:obstructive sleep apnea syndrome)、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS:central sleep apnea syndrome)がありますが、CSAの有病率はOSAに比べてきわめて少なく、一般的にOSAS≒SASと記されることが多く、この項ではOSASについて述べます。
睡眠呼吸障害(SDB):詳しくはこちら 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS):詳しくはこちら
SASでは動脈硬化の促進を通し、生命予後の悪化につながることがすでに明らかにされています。また、質・量ともに十分な睡眠が得られず、不眠やEDSを生じる一方、注意・認知・記憶などが障害されて作業能率を低下させるばかりか、居眠り運転による交通事故や労働災害などを来す原因にもなるため、社会的に大きな問題となっています。
自分自身または配偶者がひょっとしたら「睡眠時無呼吸症候群」かも?と思っているものの、仕事が忙しくて病院などの専門医療施設になかなか受診できないような方は、気軽に当院を受診して下さい。適切に診断・治療をいたします。
当院では「成人の睡眠時無呼吸症候群診断と治療のためのガイドライン」に基づいて診断・治療を行っております。
院長は呼吸器専門医であり「睡眠時無呼吸症候群」の診療経験が豊富です。
もし当院にて対応できない場合には、適切に専門病院をご紹介しますので安心して受診してください。
睡眠時無呼吸症候群の症状
覚醒時の症状
- 日中傾眠、記憶力・集中力低下
- 起床時の頭痛・頭重感
- 性欲低下・インポテンツ・erectile dysfunction (ED)
- 性格変化・抑うつ状態
睡眠時の症状
- いびきと呼吸停止
- 異常体動
- 不眠・中途覚醒
- 夜間頻尿
エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale;ESS)
睡眠時無呼吸症候群が疑われる方は、まずこの質問票でチェック!
合計点数が11点以上だと睡眠時無呼吸症候群の疑いが強いと考えられます。
| 状況 | 眠くなることが多い | 時々眠くなる | まれに眠くなる | 決して眠くならない |
|---|---|---|---|---|
| 1. すわって読書をしているとき | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 2. テレビを見ているとき | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 3. 人の大勢いる場所(例えば会議中や劇場など)で座っているとき | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 4. 他の人の運転する車に、休憩なしで1時間以上乗っているとき | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 5. 午後に、横になって休憩をとっているとき | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 6. 座って人と話しているとき | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 7. 飲酒をせずに昼食後、静かに座っているとき | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 8. 自分で車を運転中に、渋滞や信号で数分間、止まっているとき | 3 | 2 | 1 | 0 |
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合計点:点
| 5点未満 | 日中の眠気少ない |
|---|---|
| 5~10点 | 日中の軽度の眠気あり |
| 11点以上 | 日中の強い眠気あり |
睡眠時無呼吸症候群の診断
睡眠時無呼吸症候群の無呼吸・低呼吸とは、無呼吸は寝ている間の呼吸が10秒以上止まっている状態のことで、低呼吸は換気が通常の50%以下になる浅い呼吸が、10秒以上続く状態のことです。 1時間あたりの無呼吸の数を無呼吸指数(AI)と呼び、1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計回数を無呼吸低呼吸指数(AHI)と呼びます。
簡易型診断装置や終夜睡眠ポリグラフ(PSG)で検査を行い、AHIが5以上で(特に日中の過度な眠気などの症状を伴う場合を)睡眠時無呼吸症候群と診断します。
睡眠時無呼吸症候群の重症度
軽症 5≦AHI<15
中等症 15≦AHI<30
重症 AHI≧30
一般的にAHIが20以上の中等症から重症の場合、CPAP(シーパップ)療法という治療法の良い適応となります。
軽症の場合はマウスピース治療や生活習慣の改善が中心となります。
症状だけで重症度を判断するのは危険
日中の眠気などの自覚症状が強いにもかかわらずAHIの数値は高くないというケース、逆にAHIが高い数値(重症)であるにもかかわらず、自覚症状がほとんどない方もいます。
そのため、症状だけで重症度を判断するのは危険であり、客観的な検査データが重要です。
睡眠時無呼吸症候群と咳嗽の関係
- 慢性咳嗽患者の約40~80%がOSA(obstructive sleep apnea:閉塞性睡眠時無呼吸)を有するとの報告があります。
- 海外の報告では、OSA関連の咳を呈する患者さんの特徴として、いびき・夜間の胸やけ・咳・鼻炎症状、高BMI、女性、日中の眠気が乏しいなどが挙げられています。
- OSA患者における慢性咳嗽には肥満、GER(胃内容物が食道に逆流すること)、上・下気道炎症、咳感受性亢進など種々の病態が関与するとされています。
睡眠時無呼吸症候群の原因・悪化要因
「睡眠時無呼吸症候群」の無呼吸を来す原因として、寝ている間に喉の筋肉などが緩み、上気道が塞がれてしまい、そのために呼吸が一時的に止まります。これを寝ている間に繰り返します。

睡眠時無呼吸症候群を来す要因
- 肥満の人(特にBMI≧25、内臓肥満タイプ)
- 口呼吸をしている人
アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、副鼻腔炎などにより鼻がつまっている状態だと、口を開けて呼吸するしかできないため、無呼吸が悪化します。耳鼻科的治療が必要です。 - 下顎(下あご)の小さい人、下顎(下あご)が引っ込んでいる人
- 舌が大きい人、扁桃腺が大きい
- 加齢(男性では40~50歳代、女性では閉経後に頻度が高い)
- 睡眠薬の使用、喫煙など
睡眠時無呼吸症候群と合併症

「睡眠時無呼吸症候群」は、夜間睡眠中の上気道の閉塞が原因で低酸素状態が繰り返され、下記のような循環器疾患などの生活習慣病が高率で合併します。
睡眠時無呼吸症候群に合併する疾患


- 高血圧特に、早朝高血圧や夜間高血圧が問題となっています。
- 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)重症の睡眠時無呼吸症候群では、致死的心血管イベント発生率が2~3倍になるという報告があり、睡眠時無呼吸症候群が虚血性心疾患発生を促進させることが明らかになっています。
- 脳血管障害睡眠時無呼吸症候群と関連する習慣性いびき症では、脳血管障害発生率が1.5~2倍になるという報告があり、睡眠時無呼吸症候群が脳血管障害発生を促進させることが明らかになっています。
- 糖尿病睡眠時無呼吸症候群と関連する習慣性いびき症では、糖尿病発生率が1.7~2.4倍になるという報告があり、睡眠時無呼吸症候群が糖尿病発生を促進させることが明らかになっています。
- 不整脈
- 突然死
睡眠時無呼吸症候群の検査
1)簡易型診断装置による検査
「簡易検査装置自宅配送サービス」により自宅で検査を受けられるので、多忙な方でも大丈夫!

- どのような検査?
- 手と顔にセンサーをつけて、眠っている間の呼吸と血液中の酸素(濃度)の状況を調べます。 少しわずらわしいと感じるかもしれませんが、痛みを伴う検査ではありません。 安心して検査をしてください。
- 簡易検査装置自宅配送サービスとは?
- 睡眠中の呼吸の状態を測定する検査をご自宅で簡単に実施できるよう、検査装置を配送するサービスです。
ご希望の場所に検査装置が送付され、一晩~二晩、検査を実施いただきます。検査後に装置をご返送いただきますと、医療機器メーカーより当院へ検査レポートが提出され、患者さんは主治医から結果説明や指導が受けられます。
2)終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査

脳波、睡眠状態、低酸素状態、呼吸状態、下肢筋電図などから無呼吸や睡眠障害の状況を確認します。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)などの鑑別に有用です。
睡眠時無呼吸症候群の治療
1)生活習慣の改善

- ダイエット(食事・運動療法)
- アルコールの制限
- 禁煙
2)睡眠習慣の改善
側臥位での就寝(抱き枕がお勧めです)、睡眠薬の制限
3)CPAP療法(鼻マスク式持続陽圧呼吸治療)
マスクを介し気道内に圧をかけ、気道の閉塞を取りのぞく療法です。
安全性や合併症改善予防効果も立証されており、AHIが20以上の中等から重症の「睡眠時無呼吸症候群」治療の第一選択として用いられています。
当院にてCPAP療法の導入が可能です。
- <CPAPレンタル費用>
- 健康保険の適応あり。1カ月:約5,000円程度(3割負担の場合)


4)外科的治療(耳鼻咽喉科領域)
「睡眠時無呼吸症候群」の原因となっている構造的な問題点を手術にて解決します。(咽頭や口蓋垂の形成を行い、空気の通り道を拡張する方法です)
5)歯科的治療(歯科領域)
マウスピースを作製し、咽頭部分を拡張します。
主に軽症の方に適応となります。
CPAP療法の効果・メリット
1)無呼吸・低呼吸・いびきの消失
CPAP療法により、いびきがなくなり、いびき騒音による家族の睡眠障害が解消されます。
2)睡眠の質の向上、日中傾眠の解消
CPAP療法により、睡眠が深くなり、快適な睡眠が得られます。日中の眠気が改善し、お仕事の作業能率があがり、居眠り運転による交通事故の発生率も下がります。
3)低酸素状態の改善
CPAP療法により、低酸素状態によって起こる覚醒時の日中傾眠以外の症状(早朝の頭痛など)も改善します。
4)合併症の予防・改善、予後の改善
CPAP療法により、生活習慣病(高血圧、糖尿病など)の予防または改善により、死亡率の低下が望めます。
「睡眠時無呼吸症候群」に罹患している方は、心筋梗塞や脳卒中などの致命的な心血管イベントが健康な人の約3倍になりますが、CPAP療法を実施すると、健康な人と変わらないほど低下します。
