① 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
心臓の表面を走る冠動脈が動脈硬化で狭くなると、心筋に十分な血液が届かなくなり、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)を引き起こします。
代表的な症状
- 胸の締め付けられるような痛み
- 胸の圧迫感
- 左肩の痛み(肩から腕のしびれ)
- 喉元の痛み
- 下顎の痛み(歯の痛みに近い感覚)
- 運動時の息苦しさ

心臓から全身に血液を送り届けている血管が動脈です。本来、動脈の血管は大変しなやかで、内部に血液が流れるたびに径(太さ)が拡張したり収縮したりします。
ところが、加齢や高血圧、脂質異常症、喫煙などが重なると、動脈の内側の壁に脂肪やコレステロールなどが沈着し、「プラーク」と呼ばれるこぶのような盛り上がりができます。このプラークによって血管の内腔が狭くなり、血液が流れにくくなっている状態が「動脈硬化」です。
プラークは、最初は小さくて柔らかい状態ですが、時間の経過とともにカルシウムが沈着して硬くなったり、ある部分がもろくなって破れやすくなったりします。プラークが大きくなって血管の70%前後をふさぐと、その先に十分な血液が届けられず、例えば胸の痛み(狭心症)や歩行時の足の痛み(末梢動脈疾患(足の血管の動脈硬化))などの症状が出やすくなります。さらに、プラークが突然破れてそこに血の塊(血栓)ができると、血管が一気に詰まり、心筋梗塞や脳梗塞などの急性発作を起こすことがあります。

動脈硬化性疾患予防ガイドラインなどで、動脈硬化を進める生活習慣として、次のような点が繰り返し指摘されています。当てはまる方は要注意です!
男性は中年以降、比較的早い段階から動脈硬化性疾患のリスクが高まります。
一方、女性はエストロゲンの影響により閉経前はある程度守られていると考えられていますが、閉経後には男性と同程度、あるいはそれ以上にリスクが上昇することが知られています。
更年期以降の女性では、ほてりや気分の落ち込み、睡眠の乱れなど、多くの症状が重なりやすくなります。「年齢のせいだから」とすべてを我慢してしまうのではなく、健康診断などを受けて、動脈硬化のリスクをチェックすることが重要です。
動脈硬化の進行に強く関わる「内部要因」として、以下のような病気がよく知られています。
動脈硬化は、全身のあらゆる動脈で起こり得ますが、特に重要なのは心臓の冠動脈、脳につながる頸動脈・脳動脈、足の動脈、大動脈、腎動脈などです。これらの血管が障害されると、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、脳卒中、末梢動脈疾患、大動脈瘤、腎機能障害など、命に関わる病気につながることがあります。
心臓の表面を走る冠動脈が動脈硬化で狭くなると、心筋に十分な血液が届かなくなり、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)を引き起こします。

頸動脈や脳動脈が動脈硬化で狭くなったり、プラークが破れて血栓が飛んだりすることで、脳に血液が届かなくなると「脳梗塞」、血管が破れて出血すると「脳出血」や「くも膜下出血」などが起こります。これらをまとめて「脳卒中」と呼びます。

これらの症状が突然出現した場合は、一時的に改善しても「一過性脳虚血発作(TIA)」である可能性があり、脳梗塞の前触れであることもあります。
早急に脳卒中に対応できる医療機関(脳神経外科)を紹介いたします。
頸動脈狭窄症(けいどうみゃくきょうさくしょう)は、首の両側にある頸動脈が動脈硬化により狭くなる疾患です。頸動脈が動脈硬化で狭くなったり、プラークが破れて血栓が飛んだりすることで、「脳梗塞」、「脳出血」や「くも膜下出血」などが起こります。
無症状の場合でも、約5~10%の高齢者に頸動脈狭窄が存在すると報告されており、特に症状のある場合には脳梗塞のリスクが年間10%程度に達する可能性があります。
多くは無症状ですが、脳卒中を発症すると、以下のような症状で発症します。
などの症状で発症します。

頸動脈狭窄症の診断には、画像診断が重要です。頸動脈エコー(超音波検査)やMRIで診断します。
さらに造影剤を使用したCT(CTアンギオグラフィー)やカテーテル検査で詳細な精査が行われます。これらの検査により、血管の狭窄の程度やプラークの性質を評価し、治療方針を決定します。狭窄の程度を軽度、中等度、高度に分類し、リスクを評価します。
頸動脈エコー(当院で検査可能です)


当院ではまず頸動脈エコー検査を行い、必要に応じて総合病院(脳神経外科)を紹介いたします。
動脈硬化の予防、狭窄の進行を防ぐために生活習慣の改善と薬物療法を行います。軽度から中等度の狭窄では、抗血小板薬やスタチンなどの薬物療法が推奨されます。また、生活習慣病である高血圧、脂質異常症や糖尿病の管理が重要となります。
狭窄が高度である場合や、脳梗塞のリスクが高い場合は、外科的治療が検討されます。
外科的治療は①頸動脈内膜剥離術(CEA)や②頸動脈ステント留置術(CAS)の2つが選択肢となります。これらの治療法は、狭窄部位を広げることで、脳への血流を改善し、脳梗塞のリスクを低減します。
必要に応じて総合病院(脳神経外科)を紹介いたします。
足の動脈が狭くなったり詰まったりして血液の流れが悪くなり、足にさまざまな症状を引き起こす病気です。以前は、「閉塞性動脈硬化症」あるいは「下肢慢性動脈閉塞症」と呼ばれていましたが、現在はその原因に関係なく、国際的に「末梢動脈疾患」に統一されています。
PADが悪化すると、足に潰瘍ができたり、壊死したりすることもあり、ひどい場合は足を手術しなければならなくなることもあります。
PADの患者さんは、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、脳卒中などの命にかかわる病気を合併することがあります。
PADを重症化させず、また合併症を防ぐためには、早期発見・早期治療が重要です。
外科的治療が必要と判断した場合など、状況によって総合病院(血管外科)を紹介いたします。